金沢には「東廓」と「西廓」という有名な花街がありますが、それらに併設されるような形で「愛宕」と「石坂」の2つの遊郭がありました。2014年夏にその「石坂遊郭」を訪れてていましたが、そのまま放置状態になっていたのでやっと記事にしました。4年半くらい経つと、カメラに収めた建物も更地になってしまうものも多く、この石坂遊郭も同様。廓好きでは有名だった“猫の窓が印象的な大店”も今は消えてしまっています。(取材した時点ですでに解体が始まりそうな雰囲気ではありましたが)
石坂遊郭への入り口はにし茶屋街にある検番を背に、西方面の横道を入ると見えてきます。
それでは早速散策してみましょう。
にし茶屋街にある検番所。ここを西方向に進みます。
しばらく歩くと「いしさか2のはし」が現れます。この先が石坂遊郭です。ということはこの橋は、「行こか戻ろか思案橋」ということでしょうか。(地図①)
屋号「心」と書かれたスナックらしき建物が見えてきます。なんとなくスナックだけではない「現役な街」なのではないかという雰囲気が漂ってきます。(実際、そのような噂も。近くにラブホもあるし)(地図②)
それっぽい建物が残る通り。いまも人が住んでいるので解体はしばらくはされないかな・・・(地図③)
民家として使われている建物。玄関の上をよく見ると…
「●花楼」という文字が見えます!
すぐ近くには緑のタイルが鮮やかなカフェー建築。(地図④)
床面を見ると3次元的な立方体が積み重なるかのようなタイルが。綺麗ですね。
さらにお隣の建物を見ると、玄関横にはモザイクタイルが敷き詰められています。こちらもカフェー建築ですね。(地図⑤)
「第三飲食街」と書かれた、スナックなどが複数入る建物。(地図⑥)
さらに別の場所の細道に入ると、「凛凛」と呼ばれるカフェが。当時の遊郭建築を利用しています。このような形で建物が守られるのは嬉しいです。(地図⑦)
「凛凛」の床面に敷き詰められたタイルも美しいですね。
さらに奥を進むと、素晴らしいカフェー建築が見えてきました。(地図⑧)
屋号「春風」は現役かどうかはわかりませんが、色気を感じさせる洋風なアーチはカフェー建築の特徴そのものです。
「春風」の向かいにも遊郭建築が残っています。和を感じさせる引き戸と洋を感じさせるアールのついた壁…まさに和洋折衷ですね。(地図⑨)
こちらも床面には三角のタイルが敷き詰められています。
さらに奥を進むと、このあたりでは一際存在感を放つ大店が見えてきます。屋号は「綾野家」。磨りガラス越しに、ゴミ屋敷化しているのが確認できます。(地図⑩)
他ではあまりみない特徴的な窓。
ここが入り口。すでに解体用?と思われる道具が置いてありますね。
入り口の上にはこれまた凝った装飾が…解体せずに文化財として保存するレベルです。
ステンドグラス風な窓。
そして廓好きの間では有名な、猫の窓。可愛い。